『映画とマジック』をテーマに、マジックを題材にした映画や、作中でマジックを活用するシーンのある映画をピックアップしてご紹介する連載企画『シネマwithマジック』。第二回となる今回は、とある事件をきっかけにお互いを激しく憎み合い、競い合うふたりの奇術師を描いた2006年製作、クリストファー・ノーラン監督によるサスペンス映画『プレステージ』をご紹介します。 映画「プレステージ」 簡単なあらすじ 19世紀末、ロンドン ー奇術師を志すアンジャーとボーデンは、マジックを考案して仕掛けを作成するエンジニアのカッターの元で下積みをしながら、マジックショーのサクラとして働いていた。ある夜、ショーのメインイベントである水槽脱出マジックが失敗し、奇術師の助手だったアンジャーの妻が溺死してしまう。失敗の原因はボーデンが結んだロープだった。この事故をきっかけにアンジャーはボーデンを激しく憎むようになる。月日が経ち、アンジャーはカッターと組んで再起を図り、ボーデンは奇術師として独立し、小さな会場でマジックを行なっていた。ある日、ボーデンはショーの最中に観客を装って現れた復讐に燃えるアンジャーの凶行によって、左手の指を二本失う大怪我を負ってしまう。これ以降、ふたりは互いの成功を妨害し合いながら、相手を超える奇術師になることに執着するように。執着は次第にエスカレートし、狂気的な領域にまで達しようとしていた… 01. まさに瞬間移動?! 全編を通して大掛かりな仕掛けや装置が登場する本作ですが、その中でも必見なのは中盤のワンシーン。ボーデンが瞬間移動マジックを成功させたのに対抗して、アンジャーが自身のショーでも瞬間移動のマジックを行うシーンです。舞台の両端に置かれた二枚のドア。シルクハットを舞台の反対側に向かって投げ、片方のドアにアンジャーが入った瞬間、足元の落とし戸が開き、アンジャーはそのままステージ下のクッションへ。それとほぼ同時にアンジャーと瓜二つの替え玉が仕掛けのゴンドラで急上昇し、反対側の扉から現れてシルクハットをキャッチします。客席から見えるその様子はまさに瞬間移動。会場は大いに沸きます。替え玉と美人の助手が観客の喝采を浴びる中、ひとり残されたアンジャーは喝采を浴びられないことをひどく悔しがり、ボーデンの瞬間移動の秘密を暴くことに執着するように。単純に瞬間移動のマジックとして楽しめる華麗なシーンですが、このシーンはストーリー的にも重要な意味を持ち、ここから物語はクライマックスに向けて大きく動くことになります。マジックの背後にある計算し尽くされた仕掛けや、タネも仕掛けもある演目をまるで魔法のように見せるための口上や演出など、マジックを成功させるために舞台裏で起きていることを丁寧かつテンポ良く描いたシーンです。 まとめ マジックを題材とした映画は数多くありますが、本作はマジックそのものよりも、マジックショーの舞台裏を主に描いている珍しい作品です。現代のマジックに通ずる要素がありながら、現代なら絶対にアウトな仕掛けが登場するなど、どこか予測不能で、より危険な雰囲気漂う19世紀のマジックの数々も見どころ。出演している俳優も演技派揃いで、『ダークナイト』シリーズのクリスチャン・ベールや『X-MEN』シリーズのヒュー・ジャックマンなど、超豪華。まさに夢の競演です。サスペンス映画としての質も非常に高く、映画そのものがひとつの大きなトリックになっています。伏線が随所に丁寧に張り巡らされ、少しずつ明らかになっていく真実と、予想の斜め上をいく衝撃の結末に驚くこと間違いなし。 この記事のライター かねむ:映画とゲームをこよなく愛する駆け出しライター。人生で重要なのはロジックよりもロマンだと思っている。
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